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「部分最適」と「全体最適」とは何か

「部分最適」(英語名「suboptimization」)は、「局所最適」または「個別最適」とも呼ばれることもあります。

「部分最適」は、システムや企業組織の中で、それぞれの要素や部署の機能の最適化を図ること意味します。

例えば、企業やその企業のグループにおいて、材料の調達や製品の生産、物流、販売まで、それぞれの業務機能だけの生産性をあげることが「部分最適」になります。

企業を構成する各部署や従業員それぞれがバラバラな形で最適化されて行くことも「部分最適」です。

ただし、「部分最適」には、企業の生産の流れの効率が低下するという問題点があります。

それに対して「全体最適」(英語名「total optimization」)とは、システムや組織の全体の最適を図ることを意味しています。

「全体最適化」のプロセスでは、企業の各部署や全ての従業員が歩調をあわせて同じ方向に最適化されていく必要があります。

「全体最適化」を図れば、業務の流れが社内組織全体として管理されるため、過剰在庫や機会喪失などの問題を減らすことが可能になるのです。

経営に関する書籍やセミナーでは、この「全体最適」がきわめて大切に扱われており、「部分最適」をいくら積み重ねても「全体最適」とはならないと強調されます。

もちろん、「全体最適」を目指すためには、企業のトップの積極的な関与が必要であることは言うまでもありません。

社会システムに例えれば、「部分最適」は資本主義的考え、「全体最適」は社会主義的考えであるといえます。

現在では、「全体最適」を良、「部分最適」を悪と考えるのではなく、「部分最適」を積み重ねることによって「全体最適」を目指すような組織管理のあり方が、企業組織にとって不可欠な要件になっています。

全体最適化の実例(IT関連企業の場合)

全体最適化は企業経営上不可欠、実行することはなかなか簡単ではありません。

その理由は、企業全体のシステムの効率を優先するために負担が増えたり業務内容の変更を余儀なくされる部署がどうしても現れるからです。

いくら、企業全体の利益のためだといっても、業務内容が変わるとなれば、当然反対する従業員が現れます。
そうした課題への対策としては、強力なカリスマ性やリーダーシップを持つ者をトップに任命したり、反対するものの出ないような優れたシステムを構築することが必要になります。

たとえば、ITコーディネータの「ITC群馬」が提案するシステム改善方法は、工場や事業所全体を一つの大きなプロセスとして考えるというものです。

全体をプロセスとして考えた後に、原料や部品などの「インプット」、製品を指す「アウトプット」をおおまかに定義します。

そして、受注管理、生産計画、資材調達、設計、製造、検査、出荷管理、品質管理、原価管理などを全体プロセスにたいしての「サブプロセス」と考え、誰が見てもわかりやすくするよう心がけながら仕事の流れを定義づけます。

つまり、物の流れ、情報の流れに着目し、プロセスにおいての無駄を発見し、指摘して改善を試みたわけですね。

このように部署・部門単位ではなく、企業組織全体としてのシステム改善を実施することにより、全体的なコストダウンや製造工程の高度化を図ることで「全体最適化」の実現を図ることが、まさに理想的と言えるでしょう。

企業組織における「全体最適」の事例(キャノンの場合)

企業経営において最も重要なのは、企業利益の追求です。

会社組織全体としての利益を得られるためには、「部分最適」よりも「全体最適」が優先されます。

例えば、企業の中のある部署で、仕入れ量が多いほど単価が安くなる商品を、大量に仕入れることでコスト削減を実施したとします。

仕入れ担当の部署からすれば安い値段で商品を仕入れることができたわけですが、その商品を使った製品を販売する際、仕入れの半分しか売れなかったとすれば、半分もの売れ残りが出たことになり、企業全体としては損失を出したことになります。

こうした事態は、「部分最適」には適っていますが、「全体最適」という観点から見れば、企業組織にとっては望ましくない状況といえます。

ここで、「部分最適」から「全体最適」への株式会社キャノンの取り組みをみてみましょう。

かつてのCanonのオフィスは、個人や部門にとって効率の良いものを求めた「部分最適」が適用されていました。

しかし、キャノンは、新本社棟を建築するに当たり、従来の「部分最適」を見直し、「働きやすさ」を考えたオフィス作りを目指すことにしたのです。

働きやすさは業務の効率化につながり、必然的に「部分最適」よりも「全体最適」を重視しなければならなくなります。

Canonはまず、全社のレイアウトを統一し、各部門が同一のスペースで業務を行うようにし、部門ごとに独自に判断していた事務機器の導入も一括管理するようにしました。

キャノンのこの試みは、部門ごとでのコスト比較が容易にさせました。

キャノンの事例は、「全体最適」を追求することにより企業の全体像が管理しやすいものになった好例と言えるでしょう。

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